子宮筋腫は生殖年齢の女性に好発し、ビタミンDには子宮筋腫の予防と治療における有効性が実験的、疫学的に認められている。米・University of Tennessee Health Science CenterのAbigail Combs氏らは、子宮筋腫の病態生理におけるビタミンDの役割および予防や治療に対する有効性をシステマチックレビューで検討。ビタミンDの有望性が示唆されるとの結論をReprod Sci(2022年8月12日オンライン版)に報告した。
ヒト子宮筋腫の細胞研究から臨床試験までを包括的に評価
Combs氏らはCochrane Library、EMBASE、PubMed、Scopus、Web of Scienceに2022年3月までに掲載された論文を対象に、ヒトにおけるビタミンDと子宮筋腫を評価した研究を検索。960件を抽出し、基準を満たした前臨床試験23件、臨床試験25件、総説41件をレビューした。
前臨床試験では子宮筋腫細胞におけるビタミンD受容体の減少、ビタミンD投与によるヒト子宮筋腫細胞における細胞外マトリックス関連蛋白質の発現低下、WNT/βカテニン経路を介した腫瘍細胞増殖の阻害などが示され、ビタミンDによる子宮筋腫細胞の増殖抑制効果が明らかにされていた。
子宮筋腫を有する女性の血清ビタミンD濃度を評価した臨床研究(14件・3,535例)では、いずれの研究においても血清ビタミンD濃度と子宮筋腫に逆相関が認められた。ビタミンDによる子宮筋腫の治療を評価した臨床研究(5件・472例)では、5件中4件でビタミンDの投与が筋腫の成長を有意に阻害することが示された。さらに、子宮筋腫の再発(二次)予防に関するパイロット試験(1件・109例)では、ビタミンD投与例では再発子宮筋腫サイズが小さいことが示された。
これらの結果を踏まえ、同氏らは「子宮筋腫の治療法としてのビタミンDには、有望なエビデンスが示されていることから、十分にデザインされたプラセボ対照ランダム化臨床試験での検証が必要である」と結論した。
(編集部)