食習慣は関節リウマチ(RA)の危険因子の1つに挙げられるが、食肉摂取との関連については不明な点が多い。イラン・Sport Sciences Research InstitutenのElahe Hatami氏らは症例対照研究を実施し、両者の関連を検討。結果をNutr J(2022; 21: 51)に報告した。
新規RA患者100例と健康人197例の食肉摂取を比較
RAの危険因子としては遺伝的および環境的因子の両方が指摘されているが、環境的因子の中で食生活は患者自ら修正可能である、とHatami氏ら。赤肉の摂取がRAの症状を悪化させる可能性があり、RA患者が多い西洋では動物性蛋白質の消費が多い一方、肉食とRAとの関連は見いだせないとする報告もある。そこでHatami氏らは、RAと食肉摂取との関連を検討する症例対照研究を実施した。
対象は、イラン国内の診断12カ月以内の新規RA患者(RA群)100例、健康人(対照群)197例の計297例。心血管疾患、腎疾患、肝疾患、がんなどの慢性疾患の既往がなく、妊娠をしておらず、アルコール摂取の習慣がない、食物アレルギーの既往がない、特殊なライフスタイルや食生活をしていないなどを組み入れ条件とした。食肉摂取については、168項目から成る食物摂取頻度調査票(FFQ)により把握。赤肉、鶏肉、魚介類(鮮魚および缶詰)、加工肉、内臓肉における過去1年間の平均摂取量を割り出し、低摂取と高摂取に分けた。
対象の主な背景は平均年齢がRA群49.26歳、対照群40.88歳、女性が順に81.0%、76.6%、平均BMIが26.2、24.8、喫煙者が17%、2%などであった。
加工肉の高摂取でRAリスク高い
多変量解析により、食肉摂取量別にRAリスクを求めた。その結果、魚介の高摂取でRAリスクは有意に低く〔調整後オッズ比(aOR)0.52、95%CI 0.27〜0.98、P<0.05〕、有意差は認められなかったものの鶏肉の高摂取でもリスクが低い傾向にあった(aOR 0.60、95%CI 0.32〜1.14)。
一方、加工肉の高摂取はリスクが有意に高く(aOR 3.45、95%CI 1.78〜6.68、P<0.05)、有意差は示されなかったものの赤肉の高摂取(同1.22、0.65〜2.30)および内臓肉の高摂取(同1.44、0.76〜2.72)でもリスクは高かった。
以上から、Hatami氏らは「魚介の高摂取ではRAのリスクが低く、加工肉の高摂取ではリスクが高まることが示唆された」と結論。その上で、より高摂取の集団や異なる人種を対象としたさらなる研究の必要性を訴えている。
(松浦庸夫)