以前に比べ精神・身体障害を持つ女性の出生率は上がったが、妊娠および出産合併症リスクも指摘されている。カナダ・Departments of Health and SocietyのHilary K. Brown氏らは、同国オンタリオ州で障害を持つ女性の新生児合併症リスクなどを検討、結果をPediatrics2022年8月8日オンライン版)に報告した。

大規模コホートで健康女性と障害者女性の出産転帰を比較

 周産期医療の発展に伴い出産転帰が向上した一方、早産や未熟児出産、新生児合併症および死亡などの課題は依然残っているという。障害を持つ女性ではこうしたリスクが高いとする報告もあるが、現実には研究および臨床の両面において障害を持つ女性の出産と新生児合併症リスクに関する関心は少ないとBrown氏ら。

 そこで同氏らは、カナダ最大の州であるオンタリオ州在住の女性を対象とした大規模コホート研究を実施。2003年4月1日〜18年3月31日に医療機関で単胎児を出産した15〜49歳の女性から、障害のない健康女性(対照群)159万3,354例と障害を持つ女性〔障害女性群20万205例:身体障害群14万4,187例、知覚障害群4万4,988例、知的・発達障害群2,207例、いずれか2つ以上を有する複数障害群8,823例〕を抽出した。

 評価項目は34週未満または37週未満の早産、未熟児出産、在胎不当課題(LGA)、新生児合併症および死亡、新生児薬物離脱症候群(NAS)、新生児集中治療室(NICU)入室とした。

知的・発達障害や複数の障害を有する女性でリスク高まる

 対照群と障害女性群の評価項目別の割合を見ると、34週未満の早産が1.5% vs. 1.8〜2.6%、37週未満の早産が6.2% vs. 7.3〜9.9%、未熟児出産が12.3% vs. 11.7〜17.0%、LGAが8.1% vs. 7.7〜9.6%と、障害女性群で総じて高い傾向が認められた。

 対照群に対する各障害女性群の評価項目別の調整後相対リスク(aRR)を求めた。その結果、知的・発達障害群では37週未満の早産(aRR 1.37、95%CI 1.19〜1.58)、未熟児出産(同1.37、1.24〜1.59)、新生児合併症(同1.42、1.27〜1.60)、NAS(同1.53、1.12〜2.08)、NICU入室(同1.53、1.40〜1.67)のリスクが極めて高かった。複数障害群でも同様の結果が得られた(37週未満の早産:aRR 1.48、95%CI 1.39〜1.59、未熟児出産:同1.13、1.07〜1.20、新生児合併症:同1.28、1.20〜1.36、NAS:同1.87、1.57〜2.23、NICU入室:同1.35、1.29〜1.42)。

 以上から、Brown氏らは「今回のコホート研究により、健康な女性に比べ障害を持つ女性では出産に伴う新生児合併症リスクの軽度〜中等度の上昇が示唆された」と結論。「ただし、観察されたリスクの大半は頻度が少なく、回避するためのヘルスケアの必要性を示唆するものである。妊娠前および出産前に個別ケアを行うことでリスクが低下する可能性がある」との見解を示している。

松浦庸夫