岸田文雄首相が24日、新型コロナウイルス感染者の「全数把握」の見直しを打ち出したことを受け、各地の知事から発言が相次いだ。見直し自体は評価するものの、その判断を自治体に委ねる点に戸惑う声が多く、東京や大阪、愛知などは実施を慎重に検討する意向を示した。
東京都の小池百合子知事は同日、都庁で記者団に「緊急で手を挙げるというところではなく、この後どういう状況で進めていくかをよく見た上で判断したい」と述べた。
大阪府の吉村洋文知事は記者会見で「保健所で把握しなくなる感染者の治療費の公費負担や、宿泊療養の滞在費などがどうなるか不明瞭だ」と指摘。「現段階で見直しの判断はできない」と硬い表情で語った。
愛知県の大村秀章知事も「よろしくないのではないか。県によってまちまちだと、全体像がつかめなくなる。全国統一でこういうモデルで対応するとした方がいいのでは」と会見で言及。「詳細な説明を受けてから検討して適切に判断したい」と述べた。
こうした中、「高く評価する」と語ったのは、神奈川県の黒岩祐治知事。会見で「事務量が大幅に軽減できる」と語り、「できるだけ早く(見直しを)実現したい」と意欲を見せた。
全国知事会の平井伸治会長(鳥取県知事)は同日、都内で山際大志郎経済再生担当相と会談し「(保健所などが)本来やるべき業務に専念することで、助けられる命を助けられるようになる」と歓迎を表明。「(自治体間で考え方に)温度差がある。全国一律は必ずしも現実的ではないという面もあったのだと思う」と首相の決定に理解を示した。 (C)時事通信社
「都道府県が判断」に戸惑い=神奈川は実施に意欲―全数把握見直し・新型コロナ

(2022/08/24 18:49)