スーパーや百貨店など小売り各社が冷凍食品売り場を拡充している。温めるだけで食べられる手軽さや買いだめできる便利さに加え、新型コロナウイルス感染拡大の中で増えた「中食(なかしょく)」需要が人気を後押し。技術の向上で、有名レストランのメニューやデザートが味を落とすことなく冷凍できるなど、商品の幅が広がっていることも背景にある。
 イオンリテールは30日、千葉県浦安市の総合スーパー内に冷凍食品専門売り場「@FROZEN(アットフローズン)」をオープン。お手頃なプライベートブランド(PB)から、人気店「俺のフレンチ」の洋食メニュー、南インド料理専門店のカレーまで、400平方メートル超の売り場に約1500品目を取りそろえた。
 有名ブランドのスイーツや、フランスなど世界各国の食品も充実。後藤俊哉専務は、「あらゆる食のシーンに対応する」と胸を張る。売れ行きなどを見た上、さらなる出店なども検討するという。
 百貨店の松屋銀座(東京都中央区)は31日、地下食品売り場の一角に「ギンザフローズングルメ」を開設する。扱う冷凍食品約350種類の中には、洋食店「銀座みかわや」のチキンソテーなど、コロナ禍で客足が低迷する銀座の老舗の味が登場。「冷食に挑戦したいお店と、お客さまのニーズが合致した」(担当者)と説明している。
 日本冷凍食品協会によると、2021年の家庭用冷凍食品出荷額は3919億円と、調査開始以来過去最高に。コンビニエンスストア各社も売り場を広げ、夕食の献立になるような冷凍食品の扱いを増やしている。 (C)時事通信社