全ての新型コロナウイルス感染者の氏名や連絡先などを確認する「全数把握」を見直し、都道府県の判断で届け出対象者を限定する緊急避難措置が2日から、宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県で先行して始まる。医療機関や保健所の負担軽減が目的で、発生届を出す対象者を高齢者や重症化リスクのある患者らに絞る。
 厚生労働省は今後も希望自治体を募り、三重、長崎両県は2日に見直しを届け出る方針。ただ、政府が月内の一律導入を打ち出したこともあり、様子見ムードが広がっている。
 政府は先月、感染拡大に伴う医療機関などの事務負担を軽減するため、医師が発生届を出す対象を(1)65歳以上(2)入院を要する人(3)重症化リスクがあり治療薬投与などが必要な人(4)妊婦―に限定できる仕組みの導入を決めた。感染者の総数と年代別は報告させ、感染動向を追えるようにする。
 ただ、実施の判断を都道府県に委ねたため自治体から批判が続出。岸田文雄首相は今月中旬にも全国一律で重症化リスクのある患者らに限定する考えを表明した。
 今後は、発生届の対象から外れる軽症患者への対応が課題となる。先行する4県は独自のフォローアップの仕組みを設ける方針だ。鳥取県では1日、県庁内で「陽性者コンタクトセンター」の開所式を行った。センターは電話やインターネットで登録を受け付けた陽性者の療養指導や健康観察などを実施。食料なども配布し、症状が悪化した場合、医療機関につなぐ。 (C)時事通信社