財務省が1日発表した2021年度の法人企業統計によると、全産業(金融業、保険業を除く)の経常利益は前年度比33.5%増の83兆9247億円と過去最高を更新した。コロナ禍からの経済正常化が進み始め、3期ぶりに増益に転じた。ただ、物価高や世界経済の減速懸念など先行きには不透明感も漂う。
 増益率は製造業が52.1%、非製造業も23.7%に達した。特に、半導体関連の需要が増えた「情報通信機械」が好調だった。「サービス業」も前年度に大きく落ち込んだ反動で、大幅増益に寄与した。
 売上高は6.3%増の1447兆8878億円と、4期ぶりの増収だった。設備投資額(ソフトウエアを含む)も前年度比9.2%増の45兆6613億円となり、3期ぶりにプラスに転じた。
 ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰は、大手商社などの業績を押し上げる一方、製造業を中心に利益を圧迫する要因になる。今年度に入って急加速した円安も、輸入原材料価格の高騰に拍車を掛けており、物価上昇が消費の冷え込みを招きかねない。
 インフレ抑制のため、金融引き締めにかじを切り始めた米欧の景気動向も気掛かりだ。農林中金総合研究所の南武志理事研究員は「海外経済が減速すれば日本企業の輸出も伸び悩み、設備投資も停滞する恐れがある」と指摘している。 (C)時事通信社