厚生労働省は9日、全国の児童相談所(児相)が2021年度に対応した虐待相談件数(速報値)が前年度より2615件増え、20万7659件になったと発表した。1990年度の集計開始以降、31年連続で最多を更新した。内容別では、「心理的虐待」が12万4722件(前年度比3388件増)と約6割を占め、全体の件数を押し上げた。
 家の外へ追い出されたり、殴る蹴るなどの暴行を加えられたりする「身体的虐待」は4万9238件(同797件減)で、15年ぶりに前年度を下回った。同省は「子どもへの体罰禁止などを盛り込んだ改正児童虐待防止法が20年4月に施行された効果もあるかもしれない」とみている。
 「心理的虐待」は、子どもの目の前で配偶者や家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」や言葉での脅し、きょうだい間で差別的な扱いをすることなどを含む。10年前は全体の約3割だったが、割合が大きくなっている。食べ物を与えないなどの「ネグレクト(育児放棄)」は3万1452件(同22件増)だった。 (C)時事通信社