厚生労働省の専門委員会は9日、2020年度に虐待で死亡した子どもは前年度から1人減り77人だったとの検証結果を公表した。心中を除くと49人。年齢別では0歳が32人で約65%を占め、生まれたその日に亡くなる「0日児死亡事例」は8人だった。
 0日児死亡事例は病院以外の場所で出産し、直後に遺棄するケースなど。予期せぬ妊娠に悩む母親が多く、厚労省はインターネット交流サイト(SNS)の活用など相談体制を強化する。
 心中以外の虐待死の要因は、食事を与えないなど「ネグレクト」が22人と最も多く、殴る蹴るなど「身体的虐待」が21人と続いた。
 専門委が07年1月~20年3月に発生した虐待死を分析したところ、約6割が児相や市区町村の担当部署のいずれとも関与がなかったという。そうした家庭でも医療機関や学校との関わりは一定数あり、専門委は多様な関係機関が情報を共有し、対応方針を統一させる重要性を指摘した。
 地域から孤立して子育てに行き詰まり虐待リスクの高まりが懸念される未就園児家庭などには特に注意して対応することも促した。 (C)時事通信社