政府は9日、エネルギー価格高騰や円安を背景とした物価高の長期化に対応するため、住民税非課税世帯への5万円給付を柱とした追加対策を決めた。生活に不可欠な食料品や光熱費などの値上がりが相次ぎ、円安進行による物価上昇圧力が強まる中、「効果は限定的」(エコノミスト)との見方が多い。今月末に期限を迎えるガソリン補助金事業は年末まで延長され、「出口戦略」は見えないままだ。
 対策では、住民税非課税世帯を対象に年内にも5万円を給付。対象は約1600万世帯で政府は9000億円程度の支出を見込む。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「(高額資産を持つ年金受給者も含まれるため)対象が絞り込めておらず、物価高の影響を大きく受ける低所得層を集中的に支援する方が望ましい」と指摘する。
 一方、ガソリン補助金事業の延長ではこれまで用意した1.9兆円の予算に加え、新たに1.3兆円を投じる計画で、財政負担は一段と膨らむ。
 政府は当初、事業終了時に買いだめなどの混乱が生じないよう、徐々に補助金を縮小する「出口戦略」を検討。石油元売り会社への支給上限額を現在の1リットル当たり35円から11月に30円、12月に25円と5円ずつ縮小する方針だった。しかし、与党内には慎重論もあり、最終的には「補助上限の在り方は、原油価格の動向を見極めながら引き続き検討する」との方針に後退した。
 経済産業省幹部は「ずっとやり続けるわけにはいかない」と強調する。ただ、急激な円安進行でガソリン価格は高止まりしており、来年1月以降も補助金支給を続ける可能性もある。
 このほか、対策では、輸入小麦の政府売り渡し価格を10月以降も据え置いてパンや麺類などの価格を抑制。地方自治体が地域の実情に応じて支援策を講じることができるよう6000億円の新たな交付金を設ける。 (C)時事通信社