厚生労働省の専門部会は15日、新型コロナウイルス感染者の報告に関し、指定した医療機関の患者の情報だけを集める「定点把握」の導入について議論した。同省研究班からは、実際の感染動向を知るには約6000カ所の医療機関が必要との調査結果が示された。政府は全患者の情報を集める「全数把握」から定点把握への移行を検討している。
 同省研究班は、昨年6~9月と今年1~6月に国に登録のあったコロナ患者の情報を活用。定点把握を行う場合の医療機関の指定方法や全数把握との誤差を調べた。
 その結果、季節性インフルエンザで指定している約5000カ所の医療機関に、内科のある約900カ所を加えると、実際の感染者の動向とほぼ一致したという。誤差は全国で4.3%で、同省研究班は実用可能と結論付けた。一方、無作為に医療機関を選ぶ場合は約1万カ所が必要となるとして、現実的ではないとの見方を示した。
 専門部会の委員からは、「確実で有効な定点把握の方法に早期に移行すべきだ」「地方によって医療機関の状況が違う。自治体と調整しながら進めてほしい」などの意見が出た。 (C)時事通信社