米国リウマチ学会(ACR)は9月14日、『ステロイド性(グルココルチコイド性)骨粗鬆症(GIOP)の予防と治療に関するガイドライン(GL) 2022』改訂版の要点を発表した。主な改訂点としては、新規治療薬アバロパラチドとロモソズマブや逐次療法に関する推奨事項などが挙げられる。改訂版GLは2023年に刊行される予定(関連記事「日本骨代謝学会が10年ぶりにステロイド性骨粗鬆症GL改訂」)

治療薬ごとに逐次療法の指針出す

 改訂版GLには、現行版(2017年版)発表以降に臨床導入された、副甲状腺ホルモン製剤アバロパラチドおよび抗スクレロスチンモノクローナル抗体ロモソズマブに関する推奨事項が含まれている。

 また、従来扱っていなかった逐次療法についても言及。先述の2剤に加え、デノスマブ、テリパラチドによる薬物療法を開始する場合、投与を中止、終了した後に実施すべき追加薬物療法を推奨している()。

表. 改訂版GLにおける逐次治療薬の推奨

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2022 American College of Rheumatology Guideline for the Prevention and Treatment of Glucocorticoid-Induced Osteoporosis(GIOP)Guideline Summaryを基に編集部作成〕

 例えば、デノスマブの投与が終了した患者では、ビスホスホネートを1~2年投与するか、診療状況に応じてテリパラチド、アバロパラチド、ロモソズマブに移行する必要があるなどとしている。

 また、他の治療法へ移行せずデノスマブの投与を中止すると、椎体圧迫骨折や骨量減少を引き起こす可能性があると指摘。デノスマブの最終投与後6~7カ月からビスホスホネートの投与開始を推奨している。

 さらに、他の治療法に移行せずテリパラチドやアバロパラチドの投与を中止すると、急速な骨量減少と新たな骨折が生じる可能性があるが、ビスホスホネートの経口または静脈内投与、デノスマブまたはロモソズマブの投与により予防することが可能としている。

 他の治療法に移行せずにロモソズマブを中止した場合は、骨量減少が起こる可能性があり、これはビスホスホネートの経口または静脈内投与、またはデノスマブの投与により予防できると提示している。

骨折リスクが高い患者への対応も

 改訂版GLでは、骨折リスクが高い長期間のステロイド投与を受けている患者に対しては、経口ビスホスホネートを使用するよう強く勧告。中等度~高度の骨折リスクを有するステロイド治療を受けている成人患者には、患者と医師の希望に応じてビスホスホネートの経口または静脈内投与、テリパラチドまたはアバロパラチド、デノスマブの投与が望ましい点にも触れた。

 なお、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)およびロモソズマブについては、血栓症、脳卒中、心血管イベントなどの潜在的有害性を慎重に検討した上で、特定の患者に使用できると説明している。

(陶山慎晃)