カナダ・University of TorontoのVictoria Chen氏らは、オーツ麦の2型糖尿病患者における血糖コントロール効果を検討するため、システマチックレビューとメタ解析を実施。その結果、オーツ麦に含まれるオーツとオーツβ-グルカンの摂取は2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、特に空腹時血糖値の低下に関して質の高いエビデンスが示されたと、BMJ Open Diabetes Res Care2022; 10: e002784)に報告した。(関連記事「トップジャーナルに学ぶ『脂質異常症の管理』」)

LDLコレステロール低下効果は承認済み

 オーツ麦に含まれるオーツβ-グルカンは粘性のある食物繊維。血中LDLコレステロールを低下させることが分かっており、カナダ保健省、米食品医薬品局、欧州食品安全機関からヘルスクレーム(健康表示)の承認を受けている。一方、オーツβ-グルカンの血糖コントロールの改善効果については明らかではない。

 そこでChen氏らは、オーツおよびオーツβ-グルカンが糖尿病患者の血糖コントロールに及ぼす影響を検討するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマチックレビューおよびメタ解析を実施した。

 MEDLINE、EMBASE、Cochrane CENTRALのデータベースを用いて2021年6月6日までに発表されたRCTを検索。成人糖尿病患者を対象とした試験期間2週間以上で、オーツまたはオーツβ-グルカンの血糖コントロール、インスリン感受性、β細胞機能に対する効果を非オーツ(非粘性食物繊維、プラセボ、オーツやオーツβ-グルカンを含まない食事)と比較した試験を抽出した。

 評価項目は、HbA1c、空腹時血糖値、75g経口ブドウ糖負荷試験による食後2時間血糖値(2h-PG)、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)、空腹時インスリン値とした。

 独立したレビュアーがデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。逆分散法を用いてデータをプールし、推定値は平均値の差(MD)で表した。異質性はCochran's Q検定で評価し、I2検定を用いて定量化した。エビデンスの確実性はGRADEを用いて評価した。

2型糖尿病管理の追加療法に適応できる可能性を示唆

 適格基準を満たしたRCTは8件(407例)。主に中年かつ肥満があり、血糖降下薬またはインスリンの治療を受けている2型糖尿病患者を対象とした研究であった。

 解析の結果、オーツβ-グルカン3.25g(中央値)を4.5週間(中央値)摂取することで、HbA1c(MD -0.47%、95%CI -0.80〜-0.13%、PMD=0.006)、空腹時血糖値(同-13.5mg/dL、-21.6~-5.58mg/dL、PMD<0.001)、2h-PG(同-7.56mg/dL、-12.6〜-2.52mg/dL、PMD=0.003)、HOMA-IR(同-0.88、-1.55〜-0.20、PMD=0.011)の改善が示された。

 空腹時インスリン値は低下したが、有意差は認められなかった(MD -4.30pmol/L、95%CI -11.96~3.35pmol/L、PMD=0.271)。

 エビデンスの確実性は、空腹時血糖値で高く、HOMA-IRと空腹時インスリン値で中程度(不正確さのため格下げ)、HbA1cと2h-PGで低かった(不正確さと矛盾のため格下げ)。

 以上から、Chen氏らは「血糖降下薬やインスリンによる治療を受けている2型糖尿病患者におけるオーツとオーツβ-グルカンの摂取は、空腹時および食後の血糖コントロールを改善した。特に空腹時血糖値の低下に対する効果については、質の高いエビデンスが示された。2型糖尿病治療の追加療法として、オーツおよびオーツβ-グルカンの摂取が選択肢となりうる」と結論。「本結果は、オーツβ-グルカンの血糖コントロールに対するヘルスクレーム承認を支持するものである」と付言している。

(今手麻衣)