フレイルと心血管疾患(CVD)およびCVD死との関連が指摘されているが、詳細は明らかでない。シンガポール・Geriatric Education and Research InstituteのXiao Liu氏らは、フレイルへの早期介入がCVDおよびCVD死のリスク低減に及ぼす影響を探る解析を実施。結果をPLoS One2022; 17: e0272527)に報告した。

5,000例超のCVD・CVD死を10年追跡

 高齢者におけるプレフレイルおよびフレイルの発生率はそれぞれ17.4%、49.3%に上るという。また、高齢CVD患者の半数にフレイルが確認されるとLiu氏ら。一方、フレイルは適切な介入による回復が期待できることから、冠動脈疾患などの発症ひいては死亡を遅延または予防できるとの仮説を立てて検証した。

 対象は、Singapore Longitudinal Ageing Study(SLAS)に参加した55歳以上のシンガポール在住者のうち、登録時に急性心筋梗塞(AMI)や脳卒中などの既往がないなどの条件を満たした5,015例。主な背景は、平均年齢65.8歳、女性65.2%、中国系90.6%など。

 プレフレイルおよびフレイルの診断には、国際的なFriedらの評価基準(「意図せぬ減量」「弱々しさ」「歩行速度の遅さ」「疲れやすさ」「活動の少なさ」で構成)を用いた。CVDイベントは、新規MIまたは脳卒中、CVD関連死とし、5万1,135.2人・年(10年)にわたり追跡した。

フレイルはCVD死と特に強く関連

 追跡期間中のCVD発症は423例で、内訳は健康人157例、プレフレイル228例、フレイル38例であった。年齢、性などを調整後のCVD発症ハザード比(HR)を求めたところ、プレフレイルは1.26(95%CI 1.01〜1.57)、フレイルは1.54(同1.00〜2.35)と、いずれも有意なリスク上昇が示された(順にP=0.038、P=0.047)。しかし、老年期うつ病評価尺度や認知機能評価尺度、血液検査などで調整したところ、いずれも有意差は消失した(順にP=0.074、P=0.243)。

 同様にCVD死についても検討した。CVD死は103例(健康人27例、プレフレイル59例、フレイル18例)で、健康人に対するCVD死の調整後HRはプレフレイルが1.70(95%CI 1.05〜2.77)、フレイルが2.48(同1.14〜5.37)といずれも有意なリスク上昇が確認された(順にP=0.032、P=0.021)。

 以上から、Liu氏らは「プレフレイルおよびフレイルは、いずれもCVD・CVD死との有意な関連が認められた」と結論、「プレフレイルやフレイルは早期の適切な介入による改善が期待できるため、これらにターゲットを絞ることでCVDイベントやCVD死の減少に貢献できる可能性がある」と付言し、さらなる検証の必要性を訴えている。

松浦庸夫

※ 性、年齢、学歴、喫煙、老年性うつ病、血液検査などを調整