国土交通省は、大型船で新たな感染症の集団感染が発生した際、港湾管理者である自治体に代わり、国が管理業務を担えるよう制度を見直す。新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での対応を教訓に、国が関与できる体制を整える。10月召集の臨時国会に港湾法改正案を提出する方針だ。
 2020年2月、コロナ感染者らを乗せた「ダイヤモンド・プリンセス」が横浜港に寄港。その際、国交省は港湾管理者の横浜市に代わり、検疫や入管業務を行う厚生労働省など関係省庁との間で港湾利用に関する調整業務を担当した。
 本来国にはこうした権限がないことから、将来同様の事態が発生した場合に備え、自治体の要請に基づき国が管理業務を代行できることを港湾法改正案に明記する。負担が軽減された自治体が、感染者の搬送など人命救助に専念できるようになる効果も期待される。
 16年4月の熊本地震を受けた法改正で、津波や地震など大規模災害時に自治体の要請で国が管理業務を代行できる制度が創設された。今回の改正案では、代行できるケースに集団感染時を加える。 (C)時事通信社