ポリフェノールを多く含む地中海食には肥満対策におけるが期待できる。イスラエル・Ben-Gurion University of the NegevのHila Zelicha氏らは、従来の地中海食より多くのポリフェノールを含む「グリーン地中海食(green-MED)」が内臓脂肪組織に及ぼす影響を検討、結果をBMC Med2022年9月30日オンライン版)に報告した。

食事群別に286例を18カ月間追跡

 内臓脂肪の蓄積は、心血管疾患や高血圧、脂質異常症、2型糖尿病などのリスク上昇につながる。一方、ポリフェノールを多く摂取できる地中海食は、適切な運動との組み合わせにより、体重減少に関係なく内臓脂肪の減少に有効とされる。Zelicha氏らはこれまでの研究から、ポリフェノールが代謝を促進させ、蓄積した脂肪を燃焼させることが期待できると主張。

 そこで、イスラエルの原子力研究施設に勤務する378例のうち、30歳以上でウエスト周囲長が男性102cm以上、女性88cm以上などの条件を満たした286例を抽出。健康食ガイドラインに基づく食事摂取(対照)群98例、通常地中海食群96例、高ポリフェノール含有(グリーン)地中海食群92例にランダムに割り付け、18カ月に及ぶランダム化比較試験Dietary Intervention Randomized Controlled Trial-Polyphenols, Unprocessed(DIRECT-PLUS)を実施した。

 対象の主な背景は男性88.1%、平均年齢50.8歳、平均BMI 31.2、平均ウエスト周囲長は男性110.5cm、女性103.2cm、平均内臓脂肪面積131.8cm2。2つの地中海食群は1日当たり28gのクルミ(ポリフェノール440mg以上に相当)、さらにグリーン地中海食群は1日当たり3〜4杯の緑茶、マンカイと呼ばれる葉野菜100gを溶いた飲料(ポリフェノール800mg以上に相当)を摂取する一方、赤肉の摂取は減らした。MRIにより内臓脂肪量を測定した。

通常地中海食群と比べても内臓脂肪が有意に減少

 DIRECT-PLUS試験の継続率は、6カ月時98.3%、18カ月時89.8%で、脱落率は3群で同等だった。

 18カ月後の各評価項目の変化を検討した。体重は対照群−0.4%、通常地中海食群−2.7%、グリーン地中海食群−3.9%で、内臓脂肪量についても3群とも減少したが、グリーン地中海食群でより大きな減少が認められた(対照群−4.2%、通常地中海食群−6.0%、グリーン地中海食群−14.1%)。年齢、性、ウエスト周囲長の変化を調整したところ、グリーン地中海食群で対照群、通常地中海食群それぞれに対し有意な減少が示された(順にP=0.002、P=0.023)。

 また、グリーン地中海食群において緑茶、食物繊維、赤肉の摂取量別に3群に分けて比較したところ、緑茶と食物繊維の摂取が最も多く赤肉摂取が最も少ないグループは、内臓脂肪量の減少がより顕著だった(P<0.05)。

 以上から、Zelicha氏らは「ポリフェノールを多く摂取し赤肉摂取を減らしたグリーン地中海食は、内臓脂肪組織の退縮に有効である可能性が示唆された」と結論。「さらなる研究により、高ポリフェノール含有食材による内臓脂肪減少のメカニズムを明らかにする必要がある」と考察している。

松浦庸夫