新たな観光需要喚起策「全国旅行支援」が11日から始まる。国の財源で1人1泊当たり最大1万1000円を補助する制度だが、一部の自治体では独自の予算でクーポンなどを上乗せする。新型コロナウイルス感染拡大で先送りしてきた全国規模での観光支援策だけに、各地では「ぜひうちに来て」との思いが強く、多くの旅行者を引きつけようと、さまざまな工夫を凝らす。
全国旅行支援は、20日からの開始を表明した東京都を除く46道府県が、11日から実施する見込み。利用には、新型コロナワクチンの原則3回接種か陰性証明が必要となる。
割引率は40%で、鉄道やバス、航空などの公共交通と宿泊がセットの旅行商品は1人1泊当たり最大8000円、宿泊のみは同5000円を補助する。飲食店や土産店で使えるクーポンも平日は3000円分、休日は1000円分を配る。
岡山県は、休日に県内を旅行する子育て世帯に対し、高校生以下の子ども1人につきクーポン2000円分を増額して3000円分を配る。観光課は「平日は学校があるので、休日に家族旅行を楽しんでほしい」と語る。福井県は、平日の宿泊で1泊1万円以上支払う70歳以上の高齢者に、1000円分のクーポンを上乗せする。
より幅広い業種向けに地域独自のクーポンを発行する自治体もある。長野県は、県内宿泊者向けにタクシーなどで利用できる1000円分の交通クーポンを作成。鳥取県は、県内の観光施設の入場料を1000円を上限に4割引きするクーポンを準備しており、「全国旅行支援の対象外の観光施設もコロナの影響を受けており、独自に支援することにした」(担当者)。
鹿児島県は離島への旅行を後押しする。目的地が屋久島などの離島の場合、割引上限額について、公共交通と宿泊がセットの旅行商品であれば1人1泊当たり最大3000円を上乗せする。「フェリーなど交通費が掛かって行きづらい」という観光客の声などを踏まえた。担当者は「お得なのでぜひ楽しんで」と呼び掛ける。 (C)時事通信社
全国旅行支援、独自クーポンも=11日開始へ誘客に工夫―自治体

(2022/10/08 16:22)