駄菓子屋のような会議室にキッチン付きオフィス、毎日みんなでラジオ体操。新型コロナウイルス感染拡大の影響で希薄になった社員同士の交流を促し、組織を活性化しようと企業が知恵を絞っている。アイデア創出のきっかけにもなる会話などが生まれるように仕向け、テレワークなどの多様な働き方と事業の成長の両立を目指す。
 会計ソフト会社のfreee(フリー)が狙うのは「行きたくなるオフィス」だ。駄菓子屋風や本格設備のキッチン付きなど、8月に移転した社屋には社員の発想で設けた異色の会議室が並ぶ。
 同社の社員数は、事業成長を背景に2019年比で約2倍に増加した。ただこの間は、コロナによる全社一斉リモートワークを実施しており、対面で交流する機会が乏しかった。オフィス移転責任者の辻本祐佳さんは「(一段の成長には)社員が同じ場所に集まり、出会いや話題を生む仕掛けが必要と判断した」と説明。同社は、原則週3日以上の出社を呼び掛けている。
 スマートフォンゲームなどを手掛けるコロプラは、社員の「部活」を推奨する。昨年11月に発足したラジオ体操部は自由参加ながら、毎日始業前にオンラインを含め10人以上が参加。部員からは「別の部署の社員とも関わりが増えた」との声も聞かれる。同社はオンラインランチの費用補助やバナナの無料食べ放題も実施している。
 カルビーは21年秋に刷新したオフィスで、机の配置を一直線にしないなど工夫。出社した社員同士で交流しやすい環境にしている。 (C)時事通信社