日本百貨店協会が25日発表した9月の全国百貨店売上高は総額3813億円だった。既存店ベースで前年同月比20.2%増。新型コロナウイルス対策の行動制限がなくなり、客足が伸びた。外食売上高も2割増で、共に本格回復へ期待が高まる一方、先行きへの不安も抱えている。
 百貨店売上高は7カ月連続で前年を上回った。商品別に見ると、コートやジャケットなどの秋冬衣料、旅行用かばん、宝飾品などが好調だった。手土産用の和洋菓子も売れた。
 今月11日からの水際対策緩和で、東京都内各店でのインバウンド(訪日外国人旅行者)消費が直前に比べ3~5倍程度伸びた。百貨店協会の安田洋子専務理事は25日の記者会見で、「うれしい状況」としながらも、円安に伴う物価高で「中間層の(消費)心理の冷え込みを心配している」と語った。
 日本フードサービス協会が発表した9月の外食産業売上高(新規店を含む全店ベース)は前年同月比19.7%増と、10カ月連続のプラス。コロナ前の2019年の売り上げ水準に前月よりも近づくなど明るい兆しが見えてきたという。
 業態別では、ファミリーレストランが32.1%増、ファストフードは8.2%増だった。パブや居酒屋は酒類提供制限があった前年同月から5.7倍に拡大したが、担当者は「大規模な宴会が復活する気配がなく、依然厳しい」と話す。 (C)時事通信社