国会は26日、新たな感染症に備えた感染症法改正案が衆院厚生労働委員会で趣旨説明が行われるなど法案審議がようやく動きだした。ただ、69日間の会期の3分の1を既に消化。政府・与党は2022年度第2次補正予算案や重要法案の成立を確実にするため、会期末を12月10日に控える今国会の1週間程度の延長も視野に入れる。
 法案審議に入ったのは感染症法改正案などわずかで、いまだ成立した法案はゼロ。総合経済対策の裏付けとなる補正の提出は11月にずれ込む。岸田文雄首相は11月中旬に東南アジア歴訪を予定しており、衆院予算委員会を開けるのは早くても国会終盤の11月21日からとなりそうだ。
 今国会で目立つのは官邸と自民党国対の連携不足だ。そもそも会期途中に補正を出し、予算委を再び開く日程の組み立て方に党内から「おかしい。首相のスタッフが悪い」との恨み節も漏れる。
 首相は25日の衆院本会議で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で山際大志郎前経済再生担当相が辞任した経緯について、野党議員の質疑に応じた。審議拒否をちらつかせる野党の要求を受け入れたためだが、自民党の国対委員長経験者は「厄介な前例を作った。これから閣僚が辞めるたびに毎回、首相が説明を求められる」と不満を示した。首相は28日の参院本会議でも山際氏辞任について野党質問に答弁する。
 重要法案のうち、衆院小選挙区を「10増10減」する公職選挙法改正案は成立が見込まれている。感染症法改正案は与野党が折り合えるかが焦点だ。
 政府は「霊感商法」などの被害者救済に向けた法整備も目指す。与野党協議で野党は、マインドコントロール下での高額寄付などを被害者の家族が取り戻せるようにする仕組みの導入を要求。政府側は「本人の同意なく財産権が制約される懸念がある」(松野博一官房長官)と否定的だ。
 自民党幹部は国会日程について「窮屈だ」と認め、1週間程度の会期延長の可能性に言及した。別の幹部は「延長は間違いない」と述べた。政府が今国会に予定する提出法案は18本だが、成立を見送らざるを得ない法案が出る可能性もある。 (C)時事通信社