厚生労働省は28日、増え続ける高齢者医療費を賄うため、75歳以上の後期高齢者に関する医療制度見直しの素案をまとめた。高所得者の年間保険料の上限引き上げや、人口に応じて保険料負担総額を増やす仕組みの導入が柱で、同日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に提示。同省は、年内に具体案をまとめた上で、来年の通常国会に関連法改正案を提出する方針だ。
 高齢化の進展により、今後さらに医療費の増加が見込まれる。見直し案は、現役世代の負担抑制を図りつつ、医療制度全体の持続性を高める狙いがある。
 現在、窓口負担を除く後期高齢者医療費は、現役世代の保険料と公費で9割を負担し、高齢者の保険料負担は1割。高齢者が支払う保険料は収入に応じて増えるが、上限が年間66万円に設定されている。
 見直し案では、この上限額を引き上げるとともに、高所得者以外の所得層についても保険料負担水準を上げる仕組みを提案。高齢者の保険料負担総額を増やし、負担比率の引き上げも検討する。引き上げ幅など具体的な制度設計は今後詰める。
 会合では「現役世代の負担はすでに限界」「世代間の公平を確保すべきだ」などとして、一定の収入がある高齢者の負担増への大きな異論はなかったが、「過度の負担で受診抑制が生じる可能性がある」といった慎重意見も出た。 (C)時事通信社