【ニューヨーク時事】新型コロナウイルスワクチンを手掛ける製薬会社が、インフルエンザにも有効な混合ワクチンの開発を進めている。一度の接種で両方に対応できる利点があり、冬場の感染症流行期を控え、早期実用化が期待されている。
 米ファイザーは、混合ワクチンの初期段階の臨床試験(治験)を米国で始めた。オミクロン株の派生型「BA.5」にも対応したコロナワクチンと、インフルワクチンを合わせ、1回で接種する。治験には約180人が参加し、接種から半年後までの感染状況などを確認する予定だ。
 開発で提携する独ビオンテックのシャヒン最高経営責任者(CEO)は「二つの深刻な呼吸器疾患予防接種を効率化したい」と、実用化に意欲を示す。
 米ノババックスも開発に着手しており、先月に初期・中期段階の治験で好結果が出たと発表。米モデルナも、来年冬までの実用化を視野に開発を進めている。
 保健当局は、コロナ禍でコロナ以外のワクチン接種が滞ることを懸念。米疾病対策センター(CDC)は、コロナとインフルのワクチンを同じ日に続けて打つことができると説明し、積極的な接種を呼び掛けている。混合ワクチンが実用化されれば注射が1回で済むため、大人から幼い子どもまで幅広い世代の接種拡大に役立ちそうだ。 (C)時事通信社