デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalsのMarie K. Wium-Andersen氏らは、同国の全女性82万例超を45歳から平均11年間追跡し、更年期のホルモン療法(HT)とうつ病の関連を検討。その結果、50歳以前に全身投与(経口投与、経皮投与)によるHTを開始した女性でうつ病の発症リスクが上昇した一方、54歳以降に局所投与(腟内投与、子宮内投与)でHTを開始した女性ではうつ病リスクが低下したとJAMA Netw Open2022; 5: e2239491)に発表した。

全身投与開始後1年で最も高い発症リスク

 解析対象は、1995年1月1日~2017年12月31日に45歳になったデンマーク在住の女性のうち、卵巣摘出術、乳がん、生殖器がんの既往歴がある者、45歳以前にHTを開始した者を除外した82万5,238例。全例を45歳の時点からうつ病の診断、他国への移住、死亡、乳がんまたは生殖器がん発症、卵巣摘出術、追跡終了(2018年12月31日)のいずれか早い時点まで追跡した。

 45歳から平均56.0歳(範囲45.1~67.7歳)までの追跡期間中に18万9,821例(23.0%)がHTを開始した。HT開始年齢の中央値は55.0歳(四分位範囲49.0~56.0歳)で、投与方法はエストロゲン局所投与(65.8%)が最も多く、次いでエストロゲン・プロゲスチン全身投与(26.4%)、エストロゲン全身投与(7.8%)の順だった。

 同期間中に1万3,069例(1.6%)がうつ病と診断され、粗発症率(1万人・年)は非HT使用者の16.8(95%CI 16.5~17.1)に対しHT使用者では19.6(同19.0~20.4)と高かった。

 非HT使用者と比較したHT使用者のうつ病発症リスクはHT開始後の最初の1年間で最も高く〔ハザード比(HR) 1.72、95%CI 1.09~3.59、P=0.02〕、その後は時間の経過とともに漸減した。

 HT開始後1年間のうつ病発症リスクは、エストロゲン全身投与(HR 2.03、95%CI 1.21~3.41、P=0.007)、エストロゲン・プロゲスチン全身投与(同2.01、1.26~3.21、P=0.003)で有意に高かったが、エストロゲン局所投与では有意なリスク上昇が認められなかった(同1.15、0.70~1.87、P=0.57)。

局所投与HTを推奨すべき

 HT開始時の年齢別に解析したところ、全身投与HTによるうつ病発症リスクは若年開始例で高く、高齢開始例で低かった(48~50歳:HR 1.50、95%CI 1.24~1.81、51~53歳:同1.13、0.88~1.48)。

 一方、局所投与HTは54歳未満の開始例ではうつ病発症リスクとの関連が認められず、54歳以降の開始例ではリスク低下が認められた(48~50歳:HR 0.98、95%CI 0.82~1.16、54~56歳:同0.80、0.70~0.91)。

 自己対照ケースシリーズ解析では、うつ病の発症率は非治療期間(HT開始の2~3年前)と比べて治療期間で有意に高く、発症率比はHT開始後0~1年で1.44(95%CI 1.22~1.70)、1~2年で1.60(同1.35~1.90)だった。一方、治療前期間(HT開始前0~1年)は発症率比が0.51(95%CI 0.41~0.62)と有意に低かった。

 以上の結果から、Wium-Andersen氏らは「全身投与HTを開始する更年期女性は、副作用としてうつ病を発症するリスクがあることを認識すべきであり、HTが必要な女性には局所投与HTを推奨すべき」と結論している。

(太田敦子)