自己免疫疾患の難病「全身性エリテマトーデス(SLE)」では、皮膚に自然に生息している細菌群のバランスが崩れ、悪玉菌が増えて免疫細胞が活性化している可能性があることが分かった。東北大の照井仁助教や山崎研志非常勤講師(臨床教授)らがマウスの実験で発見し、15日までに米科学誌サイエンス・イムノロジーに発表した。
SLEは顔の赤い発疹や発熱、倦怠(けんたい)感、関節炎、腎炎などさまざまな症状があり、アトピー性皮膚炎から発症する例もある。アトピー性皮膚炎では黄色ブドウ球菌が増えているとの報告があることから、照井助教らは皮膚で免疫反応を制御できないモデルマウスに黄色ブドウ球菌を塗布する実験を行った。
その結果、SLEに特徴的な自己抗体が増え、免疫細胞の好中球や樹状細胞、T細胞が活性化することが判明。樹状細胞などから放出されるたんぱく質「インターロイキン(IL)23」や「IL17A」の働きを止める抗体を投与すると、症状が軽くなった。
これらの抗体は別の自己免疫疾患の皮膚病「乾癬(かんせん)」の治療薬として使われているほか、SLEの腎炎に対する臨床試験が海外で行われている。照井助教は「保湿などのスキンケアがSLE予防に有効な可能性がある」と話している。 (C)時事通信社
皮膚細菌群で悪玉増加か=自己免疫疾患SLE―東北大
(2022/11/15 16:57)