愛知県愛西市の集団接種会場で、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた女性が直後に死亡した問題で、県医師会の柵木充明会長らは17日、名古屋市で記者会見し、検証結果を発表した。女性は重いアレルギー反応「アナフィラキシー」を発症した可能性が高いとし、「ちゅうちょすることなくアドレナリンの筋肉注射をすべきだった」と述べ、当時の体制に不備があったと指摘した。
愛西市などによると、同市の主婦飯岡綾乃さん(42)が5日午後、オミクロン株派生型「BA.5」対応のワクチンを接種。約5分後に息苦しさを訴え、意識を失い搬送先の病院で死亡した。死因は急性心不全だった。
医師会は飯岡さんの死亡を受け、医師や学識経験者らによる医療安全対策委員会を開催。対応した医師らの聞き取り調査を進め、問題がなかったか検証していた。
検証結果によると、飯岡さんは血が混じったたんを大量に吐くなど、肺の異常とみられる症状もあったが、ワクチン接種後に体調が急変したことから重篤な「アナフィラキシーショック」が起きた可能性が高いとした。
その上で、会場で処置に当たった医師らの対応について、「看護師が女性の体調変化に気付いた時点でアドレナリンの筋肉注射をすべきだった」と指摘。医療スタッフの協力体制にも問題があったとし、「アナフィラキシーを常に疑い、迅速にアドレナリンを投与できるよう確認する必要があった」とした。
飯岡さんの夫英治さん(45)は17日、愛西市で記者会見し、「妻がどうして亡くなったのか何一つ解明されていない」と述べ、第三者による調査を求めた。 (C)時事通信社
ワクチン接種後死亡、体制に問題=「アドレナリン注射すべきだった」―愛知県医師会が検証結果

(2022/11/17 21:58)