塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」は、軽症者にも使える初の国産薬だ。重症者には既に承認された薬があり、今後は幅広い患者に対し国産薬による治療ができる。塩野義の手代木功会長兼社長は「第8波に対し、一日も早い提供ができないかと思っていた」と語っており、供給を急ぐ考えだ。
 米製薬大手メルクや米ファイザーが開発し承認された飲み薬は、高齢者や基礎疾患があるなど重症化しやすい人を主な対象としている。ゾコーバ承認で、今後はインフルエンザなどと同様に、病院の診断を受ければ重症化リスクと関係なく処方を受けられる。通常の診療と変わらない形となり、コロナと経済活動の両立を後押しすると期待される。
 軽症者への治療では点滴や注射で投与する抗体薬もあり、英グラクソ・スミスクライン、英アストラゼネカ、中外製薬の薬が承認されている。ただ、いずれもオミクロン株への効果は低く、投与は他の薬が使用できない場合に限定されている。
 重症者には「レムデシビル」があるが、現在は中外製薬の抗リウマチ薬「アクテムラ」やステロイドの投与が中心。重症化すると免疫の暴走で激しい炎症が起きるため、これらの症状を抑える薬が使われるようになって助かる人も増えている。 (C)時事通信社