子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)で明らかになった低出生体重(2,500g未満)の関連因子について、原因となる割合を示す人口寄与割合を算出したところ79.4%であることが分かった。このうち、鉛への曝露と妊娠中の喫煙を合わせた人口寄与割合は26.7%であり、これらを回避することで低体重出生の約27%が防げる計算になる。最も人口寄与割合が高かったのは妊娠中の8kg未満の体重増加で16.5%だった。詳細はEnviron Int(2022; 170: 1075)に掲載された。
妊娠中の8kg未満の体重増加は痩せ願望の結果か?
この研究は国立環境研究所エコチル調査コアセンター特別研究員の西浜柚季子氏、大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部部長補佐の田淵貴大氏などが行った。
エコチル調査のデータのうち出産、単胎、血液・尿試料が得られた9万1,559組の母子データを解析したところ、低出生体重と関連する因子として、出産回数、子宮腺筋症の既往歴、妊娠高血圧症候群、出産時の年齢、妊娠前BMI、妊娠中の体重増加、鉛への曝露、妊娠中の喫煙を特定した。これらの人口寄与割合が79.4%であることから、低出生体重の発生原因の8割がこれらで説明できることになる。最も人口寄与割合の高かった妊娠中の8kg未満の体重増加に関して、西浜氏らは、日本人女性の痩せ願望との関連を指摘している。
低出生体重児は成長・発達に遅滞が見られるなどから、世界保健機関(WHO)は2025年までに30%の低減を目指している。世界で低出生体重は15~20%(2014年)に発生しており、わが国では9.4%(厚生労働省、2019年)とされている。東アジア・太平洋地域の平均値6%(WHO、2014年)を上回っており、低出生体重の低減に向けた対策が必要とされている。
同氏らは、まだ確認できていない低出生体重の原因の特定に向け、引き続きエコチル調査で検討を行っていくことにしている。
(編集部)