国立感染症研究所は11月16日、国内における小児の原因不明の急性肝炎に関する調査結果(第2報)をまとめ、公表した。10月20日までに暫定症例定義を満たす可能性例として112例が確認され、うち1例で肝移植が実施されたと報告した。死亡例はなかった。原因となる病原体、発症時期、発生地域の偏りなどについて明らかな傾向は確認されていないという。

26%に基礎疾患、19%にワクチン接種歴

 同研究所は今年(2022年)6月30日、「国内における小児の原因不明の急性肝炎について(第1報)」を公表。厚生労働省の調査により収集した原因不明の急性肝炎の可能性のある小児62例について6月23日時点での年齢、性別、症状などの詳細を明らかにした。

 可能性例とは「アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)またはアラニントランスアミナーゼ(ALT)が500IU/Lを超える急性肝炎を呈した16歳以下の小児のうち、A型~E型肝炎ウイルスの関与が否定されている者」と定義されている。

 今回、同研究所は新たに原因不明の急性肝炎の可能性があるとされた112例について詳細に分析。年齢中央値は4歳9カ月(四分位範囲1歳5カ月~9歳8カ月)、55%が男性だった。

 少なくとも1回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種歴があったのは19%(20/103例)、肝炎発症前に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の既往歴があったのは9%(9/105例)で、基礎疾患を有していたのが26%(28/106例)だった。基礎疾患には精神運動発達遅滞、染色体または遺伝子に変化を伴う症候群、先天性心疾患、先天性代謝異常症、極低出生体重児、自己免疫疾患・膠原病などが含まれる。

 分析の結果、第1報と同様、症例の発症時期、居住地域、検出された病原体など特定の傾向は確認されなかった。

2割弱がICU/HCUに入室

 臨床症状で最も頻度が高かったのは37.5℃以上の発熱61%(66/108例)で、消化器症状51%(55/108例)、黄疸および咳嗽21%(23/108例)、白色便6%(6/108例)、意識障害5%(5/108例)が続いた。肝機能の指標となるAST、ALT、総ビリルビン、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)には第1報と同様の傾向が見られた。

 病原体検査の結果、情報の得られた107例のうち9例(8%)からSARS-CoV-2が検出された。また、アデノウイルスの検査が実施され、結果が判明した108例のうち13例(12%)からアデノウイルスが検出された。欧米で注目されているアデノウイルス41型は1例から検出された。現時点では、検出された病原体について特徴的な傾向は認められていないという。

 発症から入院までの期間について情報が得られた105例での中央値は4日(四分位範囲3~8日)で、入院情報のあった98例の入院期間の中央値は10日(同7~16日)だった。集中治療室(ICU)/高度治療室(HCU)入室例は18%(13/72例)。

 急性肝不全の診断基準を満たした例は、PT-INRに関する情報の得られた64例中11例(17%)であった。肝移植を要した症例が1例 (1%)報告されたが、死亡例は発生していない。同研究所は「転帰については、さらなる観察期間を要する可能性に注意が必要」としている。

(小沼紀子)