政府の全世代型社会保障構築会議がまとめた報告書案は、今後さらに深刻化する少子高齢化や人口減少への対策として、子育て支援の拡充や多様な働き方に対応した環境整備を前面に打ち出した。しかし、これらに充てる財源の議論は先送りされており、予算の規模や確保に向けた道筋など課題は多い。
2022年の出生数は新型コロナウイルスの影響もあり、初めて80万人を下回る見通しだ。内閣官房幹部は「少子化に歯止めをかけるには今すぐ思い切った対策を講じなくては手遅れになる。危機感をもっと共有し、国民的な議論をすべきだ」と強調する。
会議は昨秋から議論を始め、子育て世帯の経済的な支援だけでなく、「仕事か子育てか」の選択が迫られている状況を是正するための制度見直しも協議。報告書案では、非正規雇用労働者や自営業者、フリーランスも含め安心して子育てができる環境づくりを強く求めた。
岸田文雄首相は来年4月のこども家庭庁発足を見据え、将来的な子ども予算の倍増を表明。財源として「子ども保険」創設や企業からの拠出金増額を模索する動きもあったが、政府が予算倍増の議論を来年に事実上先送りすることを決めたため、会議での検討も深まらなかった。
一方23年度税制改正に向けては、防衛費増額で法人税や復興特別所得税などの活用が議論されている。自民党内では子ども予算の充実に向けて増税を求める声もあるが、新たに国民に負担を求めることになれば、大きな反発も予想される。改めて岸田政権の少子化対策への本気度が問われそうだ。 (C)時事通信社
少子化対策、財源確保がカギ=政府「危機感共有を」―社会保障会議

(2022/12/14 15:35)