【サンパウロ時事】南米ペルー政府は14日、国会で7日に罷免され、身柄を拘束された急進左派カスティジョ前大統領の支持者らによる抗議デモが拡大しているのを受け、全土に30日間の緊急事態宣言を出した。オタロラ国防相が発表した。治安維持のために軍が出動し、外出や集会などの自由が制限される可能性がある。
 世界遺産マチュピチュ遺跡の玄関口に当たる主要都市クスコで足止めされている在留邦人によると、国内5カ所の空港が閉鎖されており、各地で日本人観光客も立ち往生しているとみられる。日本人の現地旅行会社社長は、遺跡の麓の村で外国人を含む700~800人の観光客が移動できなくなっているとの情報があると話した。在ペルー日本大使館は、影響を受けた邦人について「人数が動いているので確たる数字は言えない」と述べるにとどめた。負傷者などはいないという。
 抗議デモは前大統領の拘束直後に始まり、各地で幹線道路が封鎖された。一部の支持者は空港などに侵入。世界2位の産出量を誇る銅の輸出などに支障を来しているもようだ。地元メディアによると、治安部隊との衝突でこれまでにデモ参加者7人が死亡、治安隊員を含む300人以上が負傷した。
 一方、ボルアルテ大統領は14日、大統領と国会議員を選ぶ総選挙について「法的には2024年4月が適当だが、23年12月に前倒しすることも可能だ」と述べた。次回選挙は本来26年4月に行われる予定だが、抗議拡大を受けてボルアルテ氏は12日、2年前倒しして24年4月に実施する意向を示していた。 (C)時事通信社