ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの定期接種の機会を逃した女性に対するキャッチアップ接種が今年(2022年)4月に開始された。現在公費で接種可能なのが2価HPVワクチン(サーバリックス)と4価HPVワクチン(ガーダシル)であるが、9価HPVワクチン(シルガード9)についても定期接種開始に向けて準備が進められている。こうした中、日本産科婦人科学会は12月13日に、9価HPVワクチンに関する考え方を公式サイトで発表した(関連記事「HPVワクチン、『親友効果』が接種を促進」)。
9価ワクチンと、2価または4価ワクチンとの交互接種に賛同
今年11月に開催された第50回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、来年度に12~16歳に相当する女子の定期接種と、17~26歳になるキャッチアップ無料接種対象者に対して、9価HPVワクチン接種を可能とする方針が示された。また、3回とも同じワクチンの接種が原則だが、2価または4価HPVワクチン接種の途中から9価ワクチンに切り替える交互接種が許容される方針も示された。これらの方針について、日本産科婦人科学会は歓迎の意向を示した。
一方で、定期接種において9価HPVワクチンの2回接種が適用されるかは継続審議となっており、同学会は早期実現に向けて働きかけを継続するという。
9価HPVワクチンの定期接種は、来年4月の開始に向けて準備が進められていることから、対象者が今年度内のワクチン接種を差し控えることが懸念される。これに対し、同学会は「定期接種・キャッチアップ接種対象者に対し、2価または4価HPVワクチン接種を早期に開始することが基本的な姿勢だが、接種対象者の個々の事情を勘案し、9価HPVワクチンの定期接種化を待つかどうかについては個別に希望を聴取すべき」との考えを示した。
いずれにしても、同学会は継続的な情報提供ならびに関係団体との連携を通して、令和6年度までの無料キャッチアップ接種継続期間中の接種率向上を目指したい、とまとめている。
(編集部)