米・University of North Carolina School of MedicineのEvan S. Dellon氏らは、12歳以上の好酸球性食道炎患者を対象にした第Ⅲ相ランダム化比較試験で抗インターロイキン(IL)-4/13受容体抗体デュピルマブの有効性と安全性を検討。その結果、プラセボ群と比べてデュピルマブ300mgを週1回皮下投与した群で投与24週時点の組織学的寛解(高倍率1視野での好酸球数6個以下)達成率および嚥下障害症状が有意に改善したとN Engl J Med2022; 387: 2317-2330)に発表した。

6割が組織学的寛解を達成

 同試験はPart A~Cの3部構成。Part Aでは81例(平均年齢31.5歳、女性40%)をデュピルマブ300mgを週1回投与する群42例とプラセボ群39例に1:1で、Part Bでは240例(同28.1歳、36%)をデュピルマブを300mg週1回投与する群80例、同薬300mgを隔週投与する群81例、プラセボ群79例に1:1:1でランダムに割り付けて24週間治療した。

 Part CにはPart A/B完遂者を組み入れ、Part A両群の完遂者はデュピルマブ300mg週1回投与を52週まで28週間継続した。Part B完遂者のPart C試験は現在進行中で、今回の解析には含まれていない。

 主要評価項目は、24週時点における組織学的寛解および嚥下障害症状質問票(DSQ)スコア(範囲0~84点、高スコアほど高頻度または重度の嚥下障害)のベースラインからの変化量とした。

 解析の結果、Part Aにおける組織学的寛解の達成率は、プラセボ群の39例中2例(5%)に対しデュピルマブ週1回投与群では42例中25例(60%)と有意に高かった(調整後群間差55%ポイント、95%CI 40~71%ポイント、P<0.001)。

 Part Bにおける組織学的寛解の達成率は、プラセボ群の79例中5例(6%)と比べてデュピルマブ週1回投与群では80例中47例(59%)と有意に高く(調整後群間差54%ポイント、95%CI 41~66%ポイント、P<0.001)、デュピルマブ隔週投与群でも有意でないものの81例中49例(60%)と高かった(同56%ポイント、43~69%ポイント)。

嚥下障害は隔週投与とプラセボに有意差なし

 DSQスコアは、プラセボ群と比べてデュピルマブ週1回投与群で有意な改善が見られ、24週時点におけるベースラインからの変化量(最小二乗平均)はPart Aで-21.92点 vs. -9.60点(群間差-12.32点、95%CI -19.11~-5.54点)、Part Bで-23.78点 vs. -13.86点(同-9.92点、-14.81~-5.02点)だった(いずれもP<0.001)。一方、プラセボ群とデュピルマブ隔週投与群では有意差がなかった(-14.37点 vs. -13.86点、群間差-0.51点、95%CI -5.42~4.41点、P=0.84)。

 重篤な有害事象は、Part A/Bの9例(デュピルマブ週1回投与群7例、デュピルマブ隔週投与群1例、プラセボ群1例)、Part Cの1例(Part Aでプラセボ投与、Part Cでデュピルマブ週1回投与)に発現した。

 以上を踏まえ、Dellon氏らは「デュピルマブ300mg週1回皮下投与は、好酸球性食道炎患者の組織学的転帰を改善し症状を軽減した」と結論している。

太田敦子