中国・Hangzhou Normal UniversityのChenjie Xu氏らは、UK Biobankの参加者50万例弱を対象とする大規模前向きコホート研究でサプリメントによるグルコサミンの習慣的な摂取と認知症との関連を検討。その結果、グルコサミン摂取により認知症の発症リスクが10%低下し、両者の関連を2型糖尿病が媒介している可能性が示されたとAlzheimers Res Ther(2022; 14: 184)に発表した。
9万5,000例がグルコサミンを摂取
解析対象は、2006~10年に認知症未発症でUK Biobankに登録され、グルコサミン摂取に関する質問票に回答した49万5,942例(平均年齢56.54歳、女性54.45%)。うち9万4,498例(19.05%)がグルコサミンを習慣的に摂取していた。
中央値で11年の追跡期間中に、6,831例が主要評価項目とした認知症を発症した。習慣的グルコサミン摂取者における認知症の発症率は1,000人・年当たり0.21(95%CI 0.19~0.22)だった。
年齢と性を調整後のCox比例ハザード回帰モデルによる解析の結果、グルコサミン非摂取者に対し習慣的摂取者では認知症リスクが有意に低かった〔調整後ハザード比(aHR)0.84、95%CI 0.79~0.89〕。ただし、年齢と性に加えてBMI、認知症の家族歴、生活習慣、併存疾患などを調整後の解析では、習慣的グルコサミン摂取と認知症リスク低下の関連はやや弱まった(同0.87、0.82~0.93)。
apoEε4アレル保有の有無で解析
認知症リスクに関して、習慣的グルコサミン摂取とアポリポ蛋白(apo)Eε4アレルの有意な相加的交互作用が認められた。認知症リスクは、apoEε4アレル非保有の習慣的グルコサミン摂取者に対し、apoEε4アレル保有のグルコサミン非摂取者(aHR 2.80、95%CI 2.58~3.04)および摂取者(同2.75、2.49~3.04)で有意に高かった(相加的交互作用1.26、95%CI 1.12~1.42、P<0.001)。
また、両者の間には有意な相乗的交互作用も認められた。習慣的グルコサミン摂取と認知症リスク低下の関連は、apoEε4アレル保有者(aHR 0.93、95%CI 0.86~1.02)と比べて非保有者で強かった(同0.81、0.74~0.89、交互作用のP=0.0002)。
マルコフ多状態モデルによる解析では、習慣的グルコサミン摂取と認知症リスクとの関連を2型糖尿病が媒介していることが示された。
習慣的なグルコサミン摂取により、2型糖尿病および認知症を未発症の状態から追跡期間中に2型糖尿病の発症前に認知症を発症するリスクが低下し(aHR 0.84、95%CI 0.81~0.87)、2型糖尿病の発症前に認知症を発症するリスク(同0.92、0.86~0.99)と比べ、2型糖尿病発症後は認知症の発症リスクがさらに低下した(同0.79、0.67~0.93)。
以上を踏まえ、Xu氏らは「2型糖尿病発症の予防または遅延が媒介している可能性がある」としている。
(太田敦子)