医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)治療薬や、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制治療薬などが厚生労働省から承認を受けたと発表した。2022年12月に承認を受けた薬剤は全18種。新規承認は11種、一部変更承認は7種となる()。

ALSにおける機能障害の進行抑制治療薬なども

表.2022年12月の承認薬剤一覧

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 ドネペジルは、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制を効果・効能として承認された。同薬はこれまで経口薬として細粒、錠剤、ドライシロップ、内用液、ODフィルム、内服ゼリーが販売されていたが、今回は初の経皮吸収型製剤である。

 ホスレボドパ/ホスカルビドパは、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善治療薬として承認された。同様の効果・効能を持つ薬剤として空腸投与用レボドパ・カルビドパ(商品名デュオドーパ)が2022年2月に承認されており、今回は初の24時間持続皮下投与注射製剤となる。

 ホスタマチニブナトリウムは、経口投与可能な脾臓チロシンキナーゼ阻害薬で、マクロファージによる血小板破壊の抑制を介して、血小板の減少を抑制し、慢性ITPの出血症状を改善する。希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)として指定された。

 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する治療薬として承認された抗IL-13抗体トラロキヌマブの承認は、国際共同試験ECZTRA1、2、 3、日本人成人患者を対象としたECZTRA 8試験、ECZTRA1試験からの継続投与となるJ-ECZTEND試験に移行した日本人成人患者の成績に基づく。

 トレメリムマブは、25mgが切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんおよび切除不能な肝細胞がん、300mgが切除不能な肝細胞がんを適応とする抗CTLA-4抗体。非小細胞肺がんに対しては、抗PD-L1抗体のデュルバルマブおよびプラチナ製剤を含む抗がん薬と併用し、肝細胞がんに対しては、デュルバルマブと併用する。

 抗PD-1抗体セミプリマブは、がん化学療法後に増悪した進行または再発の子宮頸がんを効能・効果として承認された。今回の承認は、プラチナベースの化学療法実施中に進行が見られた再発または転移性の子宮頸がん患者を対象とした国際共同試験EMPOWER Cervical-1の成績に基づくもの。

(平吉里奈)