【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は15日、IMFのブログで、新型コロナウイルス危機やロシアのウクライナ侵攻をきっかけとする貿易の制限などにより、世界の国内総生産(GDP)が長期的には最大で約7%損なわれる恐れがあると警告した。損失規模は日本とドイツのGDPの合計に相当するという。
 ゲオルギエワ氏は「経済や国家安全保障の名の下で実施される政策介入が意図せぬ結果をもたらし得る」と懸念。また、こうした政策が「他国を犠牲にして、経済的な利益を得ようと意図的に使われる可能性がある」と、警鐘を鳴らした。
 ゲオルギエワ氏は世界的な貿易の「分断」が限定的なら、打撃は世界のGDPの0.2%分にすぎないが、「深刻なシナリオ」の場合には7%程度に及ぶと分析した。
 その上で、「アジア諸国の大半が、開かれた貿易に大きく依存しているため、(分断に)苦しむことになる」と見込んだ。 (C)時事通信社