岸田文雄首相が23日召集の通常国会で行う施政方針演説の原案が18日、判明した。「異次元の少子化対策」を打ち出す首相は、こども・子育て支援政策を「経済社会の持続性と包摂性を考える上で最重要政策」と表明。新型コロナウイルス感染症法上の分類や、マスク着用ルールの見直しを議論していく方針を明らかにする。
 首相は少子化対策に関し、具体的な骨格を3月末をめどにまとめ、将来的に予算を倍増させる考えを示している。演説では、こども・子育て政策について「最も有効な未来への投資」と指摘。各種社会保険からの財源捻出や、国と地方の役割、高等教育負担の在り方の見直しを検討する意向を表明する。
 「構造的賃上げ」により、若年層や子育て世帯の所得を向上。勤労者皆保険などを通じて社会保障制度の担い手を増やすことで「若者が未来に希望を持って生きられる社会を創る」と宣言する。
 新型コロナに関しては「第8波を乗り越え、今年こそ平時の日本を取り戻す」と強調。感染症法の「5類」への見直しは専門家の意見を踏まえ「議論を進める」、マスク着脱は「今後考え方を整理する」としている。
 政権の看板政策「新しい資本主義」を巡っては、「物価上昇を超える賃上げ」を改めて提唱。中小企業、公的セクター、政府調達に参加する企業の賃上げへ全力を挙げる考えを示す。6月までに日本型職務給の導入方法を類型化してモデルを提示するとしつつ、「新しい資本主義を次の段階に進めたい」とも訴える。
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や「政治とカネ」の問題に関しては、「ざんきに堪えない。再び起こらないよう改革に取り組む」と理解を求める。 (C)時事通信社