厚生労働省は23日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者間で行われたとされる養子縁組に関し、教団側に行政指導の通知を出した。加藤勝信厚労相は同日の閣議後記者会見で「収集した情報は捜査当局に提供し、関係機関とも連携して引き続き調査を進める」と述べた上で、教団側に養子縁組あっせん法の順守を求めた。
 通知では、養子となった当事者から「実の親は自分を育てられる環境にあったのに養子に出され、激しく傷ついた」などの意見が寄せられているとして、「実父母による養育が困難または不適当である場合に、養子縁組などが検討されるべきだ」と強調した。
 その上で、教団側が発行した書籍は、養子縁組を「(旧統一教会の)美しい伝統となっている」と記載しているとして、「教団内で養子縁組のあっせんが受けられると解される懸念がある」と指摘。書籍などの表現について修正を求めた。
 養子縁組あっせん法では、あっせん事業者を社会福祉法人などに限定し、都道府県の許可が必要と規定する。許可なく反復、継続的にあっせんしていた場合、金銭授受の有無にかかわらず法に抵触する可能性がある。
 厚労省は昨年11~12月、養子縁組の実態を把握するため教団側に質問書を2回送付。12月には法令順守を求める行政指導の文書を送っている。質問書では過去の養子縁組の年度別の成立件数や教団の関与の詳細、記録の保管状況などを尋ねたが、同省は教団側からの回答内容を明らかにしていない。 (C)時事通信社