個人に割り振られた12桁のマイナンバーや、その番号が記載されたマイナンバーカードの活用に向け、政府が今国会への提出を検討している関連法改正案の概要が24日、分かった。現在は社会保障と税、災害対策の3分野に限定しているマイナンバーの利用範囲について、法改正を経ずに省令で定めることを可能とする。新型の感染症流行といった緊急時でも、マイナンバーを使った事業を迅速に実施できるようにする。
国会の審議を経ずに行政の判断のみでマイナンバーの使途拡大が進む恐れや、個人情報漏えいのリスクといった論点を巡って、今国会で議論が交わされそうだ。
マイナンバーの利用範囲は、マイナンバー法の別表で規定。利用できる行政機関と事務、取り扱う個人情報の種類などが示されており、範囲を拡大する場合は改正が必要だ。しかし今回の法改正では、既に別表に掲げられたものに「準ずる事務」については利用できるようにし、個人情報の種類などに関しても省令で定めれば可とする。
デジタル庁によると、利用範囲を拡大する際、法改正やシステム改修を含めて2年程度の期間が必要という。新型コロナウイルス感染拡大時に、マイナンバーを使って国民に給付金を支給できなかった教訓も踏まえ、政府は今回の法改正を行う。
このほか、マイナンバーカードの使い勝手もよくする。表示が義務付けられている本人の顔写真について、乳幼児は不要とする。現行の健康保険証を廃止し、カードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針に対応する。また、マイナンバーとひも付けた公金受取口座の登録促進策も盛り込む。年金給付などを通じて行政機関が既に口座情報を保有している場合、本人に登録するかどうかを確認し、回答がなければ同意があったと見なす。 (C)時事通信社
マイナンバー利用拡大、法改正不要=省令規定で迅速に事業実施―政府

(2023/01/24 17:35)