政府は8日、新型コロナウイルス対策のマスクの扱いについて、今春に学校で開かれる卒業式や入学式に着用しなくても出席できるよう、感染対策を緩和する方向で検討に入った。1月に岸田文雄首相が「個人の判断に委ねる」と表明したのを踏まえた措置で、近く着用ルールを見直して全国の自治体に通知する。
 現在、文部科学省が示す新型コロナの学校向け衛生管理マニュアルでは、卒業式などについて「マスク着用を含むせきエチケットを推奨」と明記。見直しにより、政府は卒業式などでの「着用の推奨」を取りやめ、個人の判断に任せる方針だ。
 自民党文部科学部会は8日、卒業式のマスク取り扱いを巡り議論。中村裕之部会長は部会後、記者団の取材に応じ、「卒業式は学校生活の重要な場面であり、マスクなしでもいいことにしてほしい」といった声が相次いだことを明らかにした。
 同日開かれた厚生労働省の助言組織「アドバイザリーボード」では、専門家有志が「一生に一度の卒業式でマスクを外したい気持ちも理解できる」として、マスクなしでの参加を容認することを提案。一方、座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は会合後の記者会見で「人が集まる場所には重症化リスクの高い人もいる」など慎重意見もあったと説明した。
 政府は1月27日の対策本部で、「2類相当」としている新型コロナ感染症法上の位置付けを5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決めた。席上、首相はマスク着用について「個人の判断に委ねることを基本とする」と表明。これに対し、一部の首長らからは「国が見解を示してほしい」との声が出ていた。 (C)時事通信社