政府は10日、新型コロナウイルス対策のマスク着用について、3月13日から新たな指針を適用し、屋内外を問わず個人の判断に委ねる方針を決めた。混雑時の電車内などでは引き続き着用を推奨する。新型コロナの感染拡大から4年目を迎える中、マスクを前提とした生活スタイルが大きく変わる。
 政府対策本部を持ち回りで開き、方針を正式決定した。加藤勝信厚生労働相は記者会見で、「国民への周知や事業者の準備期間を考慮した」と適用時期を約1カ月後とした理由を説明。「今回の見直しは全国民や事業者に関わる。円滑に行われるよう万全な準備を進めたい」と述べた。
 指針では、全員が着席できる新幹線や高速バス内でのマスクを不要とする一方、混雑する通勤電車やバスでは引き続き着用を勧める。重症化リスクの高い人がいる医療機関や高齢者施設を訪れる際も推奨する。症状がある人や陽性者、同居家族には原則として外出を控えてもらい、通院などでやむを得ず外に出る場合はマスク着用を求める。
 マスクの着脱はいずれも強制されることがないよう、「個人の主体的な判断が尊重されるよう周知していく」とした。一方で、事業者が必要と認めた場合は「利用者または従業員に着用を求めることは許容される」との見解を示した。
 学校内の着用についても新たなルールを設け、4月1日から適用する。授業など教育活動での着用は求めず、同日より前の卒業式についても、生徒らはマスクなしで出席できるとした。
 マスク着用に関するルールには法的拘束力がなく、政府はこれまで「原則として屋外では不要、屋内では着用を推奨」との考え方を示していた。 (C)時事通信社