新型コロナウイルス対策のマスク着用を緩和する政府方針について、自治体の首長らからは歓迎の声が出た一方で、配慮を求める意見も聞かれた。
 卒業式で着用不要を基本とする方針について、神戸市の久元喜造市長は10日の記者会見で「常識的な対応で、歓迎すべきことだ」と賛意を表明。東京都の小池百合子知事も9日、「感染対策はしっかり行いつつ、皆の笑顔が分かる思い出に残る式になるよう願っている」、群馬県の山本一太知事も「一生に一度のイベント。外してできるならその方が絶対にいい」と述べた。
 横浜市教育委員会の担当者は10日、「今年の式は保護者の入場制限もできるだけなくし、多くの方に祝ってもらえるようにと考えている」と説明。ただ「全部が全部(コロナ前の対応で)いいという社会情勢には戻りきっていない。理解を得られる妥当な線を模索している」。
 学校での教育活動でも着用を不要とすることについて、大阪府の吉村洋文知事は「一律着用はやめるべきだが、マスクをしたい子どもたちを排除することのないように」と求めた。
 着用を個人の判断に委ねる方針を巡り、鳥取県の平井伸治知事は「日常を取り戻すことは当然考えるべきだが、重い病気のある子もいれば、お年寄りもいる」と指摘。「命にかかわるようなことにならない配慮や医療提供体制の確保など、新たな対策を組み合わせながら議論する必要もある」と強調した。 (C)時事通信社