新型ロケット「H3」の初打ち上げを17日に控えた鹿児島県・種子島。新型コロナウイルス感染拡大による来島自粛の呼び掛けもなくなり、打ち上げ見学の客足も戻りつつある。ただ、難関はホテルとレンタカーの確保。大型ホテルの廃業や、1月から本体工事が始まった沖合の馬毛島での自衛隊基地建設による需要増が影響しているとみられ、供給が追い付いていない。こうした現状に、ロケット打ち上げを観光資源にする地元も対策を考え始めた。
島北部の西之表市によると、ここ数年の宿泊施設やレンタカーの数に大きな変動はないものの、昨年ごろから「空きがない」などの問い合わせが増えた。観光客数はコロナ禍前の水準に戻りつつあるが、市の担当者は「馬毛島の工事関係者の需要が増えたことにインパクトがある」と分析。対策の検討を始めたという。
一方、宇宙センターのある島南部の南種子町では、この数年で経営難や後継者不足などにより、大型ホテルなど宿泊施設が3軒廃業。町内の宿泊可能人数は1200人から1000人に減った。同町の担当者は「打ち上げ関係者も宿泊先の確保に苦労している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)からは、町の研修施設を宿泊先として利用したいと要望された」と明かした。
新型ロケットの打ち上げで、町が実施した発射台から最も近い公園の見学者募集には、定員の350人に対し約2000人が応募した。注目度は高まっているが、年に数回のロケット打ち上げに大きな予算を割けない事情もある。町は「今ある宿泊施設に新たな設備投資をお願いするのは難しい」として、島外の企業などへの誘致活動も開始。誘致に応じた企業への町独自の補助制度などの検討も始めている。 (C)時事通信社
H3見学、難関は「宿と足」=JAXAも確保に苦労―自衛隊基地工事の影響も・種子島

(2023/02/16 11:01)