新型コロナウイルスのワクチン政策を巡り、山梨県の長崎幸太郎知事らに危害を加える内容の文書と刃物を送ったとして、県警捜査1課などは16日、脅迫容疑で、元長野県小布施町職員の無職高野伸一容疑者(51)=同町小布施=を逮捕した。「知事らに脅迫文書を送ったことは間違いない」と容疑を認めており、詳しい動機を調べる。
 逮捕容疑は昨年1月27日と3月1日ごろの計2回、山梨県のワクチン政策に絡み、長崎氏や同県の幹部職員らに対し、危害を加える趣旨の内容の文書と刃物を同封した封書を郵送した疑い。
 長崎氏は昨年1月23日の記者会見で、当時ワクチン接種を2回完了していなかった人に対し、不要不急の外出自粛などを求めた。県の電話やホームページには意見や問い合わせが殺到し、脅迫文書や刃物も届いた。県によると、刃物はカッターナイフで、刃がむき出しの状態で入っていたという。
 小布施町によると、高野容疑者は企画財政課係長だったが、今年1月31日付で依願退職していた。
 長崎氏は容疑者逮捕を受け、「脅迫や暴力行為で自らの主張を押し通そうとする卑劣極まりない行為。安堵(あんど)の念を覚えている」と文書でコメントした。 (C)時事通信社