ω-3脂肪酸サプリメント摂取による脂質への影響について、イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのMasoud Khorshidi氏らは、小児・青年を対象としたランダム化比較試験(RCT)のシステマチックレビューおよびメタ解析を実施。結果をNutr J(2023; 22: 9)に報告した。
RCT 14報をメタ解析
Khorshidi氏らは、心血管疾患(CVD)死の危険因子と指摘される脂質異常症が小児および青年において増加傾向にある点に着目。また、青少年におけるω-3脂肪酸サプリメント摂取が脂質異常症に有効とする報告がある一方、有効性に乏しいとする報告もあるとして、小児・青年が対象のω-3脂肪酸サプリメント摂取が脂質に及ぼす影響を検討したRCTのシステマチックレビューおよびメタ解析を実施した。
2021年3月までにCochrane Library、EMBASE、PubMed、Scopusに登録されたRCTを"hypercholesterolemia"、"HDL"、"LDL"、"hyperlipidemias"などのキーワードで検索し、対象年齢が2〜18歳、ω-3脂肪酸サプリメントの経口摂取による脂質プロファイル〔HDLコレステロール(HDL-C)、LDLコレステロール(LDL-C)、総コレステロール(TC)、トリグリセライド(TG)〕の評価などを条件に14報を抽出し、ランダム効果モデルによるメタ解析を実施した。ω-3脂肪酸サプリメント以外のサプリメントの併用などは除外した。
14報の内訳は、平均年齢の範囲が10〜14.7歳で、2001〜19年に米国、メキシコ、イタリア、イラン、スペイン、エジプト、トルコ、ポーランド、デンマークで報告されたRCT。評価項目はTGが14報、TCおよびHDL-Cが各12報、LDL-Cが8報だった。
TG値の減少効果示すも、13歳以下および高TG血症児に限定的
メタ解析の結果、ω-3脂肪酸サプリメント摂取が脂質プロファイルに及ぼす影響として、TG値の有意な減少が示された〔加重平均差(WMD)−15.71mg/dL、95%CI −25.76〜−5.65mg/dL、P=0.002、I2=88.3%、P<0.001〕。
ただし、サブ解析では13歳以下の小児(WMD=−25.09mg/dL、95%CI −43.29〜−6.90mg/dL、P=0.007、I2=84.6%、P<0.001)および高TG血症児(同−28.26mg/dL、−39.12〜−17.41mg/dL、P<0.001、I2=0.0%、P=0.934)のみでω-3脂肪酸サプリメント摂取によるTG値の減少効果が認められた。一方、TC値、HDL-C値、LDL-C値の減少効果は確認されなかった。
以上から、Khorshidi氏らは「ω-3脂肪酸サプリメント摂取による脂質プロフィールへの影響として、13歳以下の小児および高TG血症児でのみTG値の有意な減少効果が示唆された」と結論。「より長期にわたる臨床試験でさらなる検証が必要」との見解を示している。
(松浦庸夫)