人の造血幹細胞を実験容器内で、1カ月の長期にわたり増殖させる技術を開発したと、筑波大や慶応大、東京大などの国際研究チームが24日までに発表した。将来、臨床応用されれば、白血病や再生不良性貧血などの患者に行われる造血幹細胞移植が容易になると期待される。論文は英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
造血幹細胞は骨髄のほか、へその緒や胎盤の血である臍帯(さいたい)血に含まれる。自ら増殖するとともに、赤血球や白血球、血小板に変わる。骨髄から採取する場合は提供者の負担が重く、臍帯血を使う場合は含まれる造血幹細胞が少ないため、体外で増殖させる技術が求められている。
造血幹細胞の培養にはこれまで、血液に含まれる血清アルブミンや細胞間の情報伝達を担うサイトカインというたんぱく質が必要と考えられてきたが、短期間しか維持できず、あまり増殖させられなかった。研究チームはこれらのたんぱく質の機能を解明し、効率良く増殖させる物質に置き換える技術開発に取り組み、既存の医薬品添加剤や造血幹細胞の性質を維持する化合物などを組み合わせた培地を生み出した。
慶応大の桜井政寿専任講師は「改良を続け、まず臍帯血移植の際に造血幹細胞を増やせるようにしたい」と話している。 (C)時事通信社
造血幹細胞の長期増殖技術=臍帯血移植に応用期待―筑波大・慶大
(2023/02/24 05:20)