【ニューヨーク時事】新型コロナウイルスの流行が落ち着きを見せる中、今年はワクチンや治療薬など関連医薬品の売り上げが大きく減る見通しだ。コロナ禍で業績を急拡大させた製薬各社は、次の主力製品を模索している。
米ファイザーは昨年の売上高が前年比23%増の1003億ドル(約14兆円)と、過去最高を記録。売上高の過半をコロナワクチンと飲み薬が占めた。ただ、需要鈍化の影響で、今年のワクチンの売り上げは前年比64%減、飲み薬は58%減になると見込む。
コロナワクチンの成功によって急成長した米モデルナも、昨年10~12月期の売上高が前年同期から3割、純利益は7割も落ち込んだ。米メルクも、今年は飲み薬の販売額が昨年の約6分の1に減ると予想している。
このため、各社は次の収益の柱を見つけようと躍起だ。モデルナは、肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症やインフルエンザのワクチンの開発を進めている。バンセル最高経営責任者(CEO)は「今後数年間で複数の新薬を実用化できるだろう」と自信を見せる。
コロナ関連製品で稼いだ資金を、有望な製品や技術を持つ企業の買収に投じる機運も出てきた。メルクのデービスCEOは「機会があれば行動する」と、企業の合併・買収(M&A)に意欲的だ。ファイザーのブーラCEOは、買収や自社による研究開発を通じ、2030年までに250億ドルを売上高に上乗せすることで、コロナ関連製品や特許切れ製品の減収分を補う考えを示している。
米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは「現金が積み上がり、負債が比較的低水準」の製薬業界で今年、M&Aが活発化すると予想している。 (C)時事通信社
製薬会社、コロナ後模索=ワクチンや治療薬の需要鈍化で

(2023/02/25 15:36)