福岡県筑紫野市の老舗旅館「二日市温泉・大丸別荘」運営会社の山田真社長(70)は28日、福岡市内で記者会見し、公衆浴場法に基づく県条例で週1回以上と定める浴場の湯の入れ替えを年2回しか行っていなかったと明らかにした。山田社長は「利用してくださった皆さまを裏切り、本当に申し訳ない」と謝罪した。
 湯の交換はお盆と正月の年2回で、山田社長は、消毒用の塩素投入を怠っていたことも認めた。従業員に指示を出し、少なくとも2019年12月ごろから違反状態にあったという。「法律への認識が甘く、レジオネラ属菌はどこにでもある細菌だと安易な考えがあった。塩素の臭いが嫌いだった」などと釈明した。
 県によると、レジオネラ症を発症した県外の人の立ち寄り先に同旅館が含まれていたため、昨年8月に調査に入ると浴場から基準値の約2倍のレジオネラ属菌を検出。同11月の再調査では最大約3700倍の菌が検出された。同旅館は一時休業したが、昨年12月に営業を再開した。県は旅館側が湯の交換などについて虚偽の報告をしていることから、公衆浴場法に基づく罰則の適用を検討している。 (C)時事通信社