【ニューヨーク時事】米議会上院は1日、退職年金基金がESG(環境・社会・企業統治)投資の考え方に基づく投資先決定をしやすくなるようにしたバイデン政権の規則を認めない決議を、賛成多数で採択した。共和党は、気候変動対策の一環で政権が進めるESG投資促進への反発を強めている。2024年の大統領選をにらんだ与野党の対立が激化している。
 共和党が過半数を握る下院は前日に採択した。上院では、民主党から有力議員を含む2人が賛成に回っており、バイデン大統領の求心力低下にもつながりそうだ。決議採択によって規則を無効にできるが、米メディアによると、大統領は拒否権を行使する見通し。
 ESG投資は、企業による気候変動対策などへの取り組みを重視する手法で、近年、急速に普及した。バイデン政権は昨年11月、退職年金基金の運用担当者が、投資先選定や議決権行使に際し、ESG投資の観点を反映させることを認める規則を決定。今年1月末に発効した。
 ただ、共和党は「政治的な議題を押し付けている」と反発。投資収益が減り、退職者の資産をリスクにさらすと批判している。
 共和党支持が多い州では、公的年金の運用委託先から、ESG投資を掲げる金融機関を外すなどの動きが広がっている。一方で、民主党支持が多い州の年金基金では、ESG投資を積極的に取り入れる動きもあり、対立が深まっている。 (C)時事通信社