【北京時事】中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第1回会議が5日、北京の人民大会堂で開幕する。経済成長目標や国防予算のほか、昨秋の共産党大会を経て3期目の習近平指導部が発足したことを踏まえ、習氏を支える国家の新体制を決める。習氏の側近が多数要職に起用される見通しで、権力集中が一層進むのは確実だ。
 初日は、任期満了で退任する李克強首相が最後の政府活動報告を行い、今年の経済成長目標を明らかにする。2022年は、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策により行動規制が行われたため、経済成長率は3.0%と過去30年間で2番目に低い水準に低迷。政府目標の「5.5%前後」に届かなかった。今年はゼロコロナの終了と感染の収束により、景気が回復に向かい、目標は5.0~5.5%程度になるという見方が出ている。
 国防予算も公表される。22年は前年比7.1%増で1兆4500億元を超えた。習指導部は台湾侵攻も視野に入れ、戦力の増強を進めており、今年も大幅な増額が見込まれる。経済状況が厳しい中、成長目標を上回る国防予算の伸びを続ければ、習指導部の強国・強軍路線がさらに鮮明となる。
 習氏の3期目政権を支える陣容は「習派」で固められるもようだ。李首相の後任には、習氏の地方勤務時代からの側近で党序列2位に抜てきされた李強・政治局常務委員が就くことになりそうだ。筆頭副首相には同じく側近で同6位の丁薛祥・政治局常務委員、経済担当の副首相には国家発展改革委員会の何立峰主任の起用が有力視される。
 全人代で審議される「党と国家の機構改革」も焦点で、政府に対する党の関与がさらに強まるとみられている。一部の香港メディアは、警察を担当する公安省と、情報機関である国家安全省が党直轄の組織に改編されるという観測を伝えている。 (C)時事通信社