【北京時事】中国・北京で開会中の全国人民代表大会(全人代)では、中国当局が外国メディアの取材に当たり、人数の制限や前日からの隔離を要求するなど新型コロナウイルスの感染予防を理由にした取材規制を継続している。既にウィズコロナに転換し、共産党が防疫措置で「決定的な勝利」を宣言したにもかかわらず、コロナ禍と同様の取材対応のままだ。
 中国では昨年12月、3年にわたった厳格なゼロコロナ政策を急転換。「感染爆発」が発生したものの、約1カ月で感染は収まっており、既にコロナ禍以前の平常を取り戻している。当局も「集団免疫を獲得した」と判断しており、北京の街頭ではマスクを着用しない人も見かける。
 しかし、中国当局は「コロナは完全に終わっていない」として、外国メディアへの取材規制を継続。全人代の開幕式や記者会見などで、現場入りできるメディアは最小限に絞られている。取材する記者は隔離を名目に前日からホテル宿泊を求められ、PCR検査も実施。コロナ禍以前には外国メディアにも認めていた省レベルの分科会などの取材は、国内の記者だけを対象としている。
 ただ、隔離は厳格に行われているわけではなく、ホテルの滞在中、記者の出入りを監視する要員はいない。外国人記者からは「意味のない措置で取材制限している」という声も上がる。北京では現在、新型コロナよりもインフルエンザが猛威を振るっており、感染者が急増している。 (C)時事通信社